校友スポットライト

vol.451(発行日: 2024年2月25日)

校友スポットライトでは、最前線で活躍する校友を紹介。
お仕事のことをはじめ、私生活や学生時代のエピソードなどをお聞きします。

大阪工業大学 工学部 機械工学科 2014年卒
大阪工業大学大学院 工学研究科 機械工学専攻(修士) 2016年修了

いすゞ自動車株式会社
xEVシステム開発第二部・xEV電子制御開発第一グループ

上野 徹

さん

♪い~つ~ま~でも~、いつ~ま~でも~、走~れ、走れ!いすゞのトラック~♪でお馴染みのいすゞ自動車。最先端のEV技術を取り入れた新しい時代の自動車を造るためには、車体の技術革新だけでなく、さまざまなハイテク機器を搭載し、機能性と安全性を追求していく必要があります。『働く車』のシステム設計を担う、上野さんにお話を伺いました。

『音』の正体は?どんな仕組みなのか?そこに興味があった

学生時代はバンドをやったりバイクに乗ったり…そこで発生する『音』に興味があったという上野さん。大阪工業大学の機械工学科を選んだのも、『音』の研究をされている吉田準史先生が教鞭をとられていると知ったから。金属を削る『音』に直接関われると、入学早々に学生フォーミュラプロジェクトに参加。バイクのエンジンを使ったレーシングカーを学生の手で1年かけてゼロから造り上げる学生フォーミュラは、企画・設計・開発・製造だけでなく、スポンサー探しやさまざまな部品の調達、協力製作してくれる工場探しなど、モノづくりを取り巻く環境にも携わっていく。1年ごとに新しい『動くもの』が出来上がっていく面白さにふれたことが、車を製造する業界への就活をするきっかけになったとか。また、学生フォーミュラでは、これまでの伝統や技術を先輩から後輩へ脈々と受け継いでいく。この引き継ぎの能力を自然と身につけられたことも、今の自分を作っていると上野さんは話す。

いすゞが手がける『働く車』の役割や車づくりが学べる「いすゞプラザ」

学生時代の知識と経験が『今』を導いてくれた

上野さんが大学院に進むタイミングと合わせるかのように、ドイツから吉田先生が帰国され、念願の研究室に入ることができたそう。研究室ではハイブリッドカーの音の実験や研究に関わった。国によって音の感じ方がどう異なるのかという『音』のデータを集めるため、3ケ月ほどドイツにも留学。さらにアメリカで開催された国際学会での発表を経験した。そんな恵まれた経験をもとにいすゞ自動車に入社し、エンジン実験部騒音対策部署に配属。エンジン実験部ではいすゞの伝統をしっかり学ぶため、エンジンをバラバラに分解するなど、系統化されたカリキュラムが確立されていて、『働く車』を造り出していくいすゞ自動車の役割や構造をしっかりと学んだ。学生フォーミュラに明け暮れながら、音の知識・実験経験など大学院で学んだことが直接生かせる職場での6年間の経験が大きな糧となった、と振り返る。

エコな『働く車』の未来を切り開いていく

一般乗用車のみならず、いすゞの扱う『働く車』もEVへの移行が急務とされている。乗る人の安全に加えて、積載する荷物の重さや負荷のかかり方、また消耗するサイクルなどを含めた実験を繰り返し、安全に働き続けられる車の性能を追求した最新の制御コンピュータの搭載も不可欠となる。昨年、このEV技術を研究開発する部署に興味を持ち、自ら手を上げて異動した上野さんは当初、『まるで転職したくらい』の環境変化に戸惑ったそう。それでもEVだけでなく燃料電池車など、エコを視野に入れたさまざまな車両開発のために日夜、実験と解析、システムの設計と開発に取り組んでいる。「数年後には街を走るEVバスなど、自分が関わったエコな『働く車』が、自分の住む街を走る姿を見ることが普通になる。そんな未来を思い描きながら頑張っています」と熱く語ってくれた。