校友スポットライト

vol.452(発行日: 2024年8月5日)

校友スポットライトでは、最前線で活躍する校友を紹介。
お仕事のことをはじめ、私生活や学生時代のエピソードなどをお聞きします。

大阪工業大学 電子工学科 1972年卒業

立杭てらす(グランピング施設運営)

オーナー

中井 基治

さん

アウトドアの魅力が再認識され、今や老若男女を問わず大ブームのキャンプ。中でも近年注目されているのがラグジュアリーな楽しみ方ができるグランピング。大自然を満喫しつつ、さまざまな設備を充実させ、快適さを追求した新しいスタイルにいち早く注目し、丹波篠山でホスピタリティあふれるグランピングを提供する中井さんにお話を伺いました。

若い仲間たちと学び新しい発想でビジネスプランを考案

丹波篠山市今田町は、日本古来の陶磁器窯で六古窯の一つに数えられる立杭焼の郷。その麓、手つかずの自然が残るのどかな風景の一角に、中井さんが「立杭てらす」をオープンさせたのは4年前の72歳の時。セカンドキャリア、サードキャリアとして、若い人たちから新しい事業のヒントを得ようと、69歳の時に地元・丹波篠山市と神戸大学が連携したローカルビジネススクール『篠山イノベーターズスクール』に入学。1年間、起業のためのプログラムをしっかりと勉強し、「地域の魅力や景観を生かせるのでは」と、卒業制作で地元にグランピング施設を造るビジネスプランを企画し、最優秀賞を受賞した。

まずは自ら動きチャレンジする

大阪工業大学在学時はアルバイトに明け暮れ、「卒業に必要な単位をギリギリ取得するほどしか大学には通っていなかった」と笑う。それでも電子工学科での学びを生かして電子機器関連の会社に就職し、37歳で電磁波を調べる会社に転職。52歳の時に試験場の設計を自らが行って電磁波測定事業の会社を設立。その後パナソニックの専用測定場となり、順調に推移していたが、電気機器の進歩とともに年々高額の設備投資が必要になり、会社の清算を決めた。しかし、ひと月も経つと時間を持て余し、篠山イノベータースクールの記事を見て気付けば最高齢で入学。ビジネスプランを「グランピング事業」とし、発表会で優秀賞を獲得して起業の目標を得た。家族には年齢のこともあり大反対されたが、2年をかけて元の会社の土地と建物を自力で改修・整備し、ホームページやロゴ看板等はスクールの仲間や近隣の友人に協力してもらい、手作りのグランピング場を完成させた。当時はグランピングが流行する前で関連資料も少なく、許認可もグレーゾーンが多かったため、一歩一歩手探り状態で進めていった。

本格的なドーム型テントで大きな窓からは四季を感じられる

生まれ育ったふる里の原風景をたくさんの人の癒しに

グランピングはキャンプ初心者に設備の整った環境でアウトドアを体験してもらう、また熟年の方にもカジュアルに楽しんでもらえる施設として、従来のキャンプとは一線を画したホスピタリティが求められる。「立杭てらす」には3棟のテントがあり、ベッド、ソファー、冷蔵庫、電子レンジ、wi-fi、洗面所、シャワールーム、トイレ、炊事場を完備。テーブルや食器、ガスコンロもあるので食材を持ち込んで本格的なBBQもできる。ミニプールやセグウェイなどのアクティビティ、陶芸体験や著名な講師を招いてのアウトドア料理教室なども開催。「何事も、まずは自分で動かないと何も始まらない。スタートする思い切りがあるかどうかが成功のカギ。スタートすると様々なお客様との出会いがあり、そこからまた次のアイデアにつながっていく」と語る中井さん。何度来ても、いつも新しい楽しみがある、そんな『成長する施設』になるよう常にアンテナを張り巡らせ、今日もたくさんのお客様をもてなす。