校友ハツラツ女子

vol.449(発行日: 2023年3月7日)

キラキラ輝く女性校友にインタビュー!!
今回は、大阪工業大学環境工学科を卒業し、
京都大学発のスタートアップで働く木田真加さんにスポットを当てます。
京都の鴨川沿いにある職場におじゃまし、学生時代の思い出や現在の仕事についてお聞きしました。

大阪工業大学 工学部 環境工学科 2013年3月卒業

木田 真加

さん

(きだ まき)

大学を卒業後、水道の水質を始めとした各種検査などを行う一般社団法人に入社。
2022年に京大発のスタートアップである株式会社Atomisに転職し、現在は実験補助員を務めている。

現在の仕事について教えてください。

現在の職場である株式会社Atomisには、2022年5月に転職したばかり。ようやく新しい環境にも馴染め、仕事のリズムがつかめてきたところです。前職では水道の水質検査を担当していました。9年間勤めた職場では自分の能力を生かせ愛着もあったのですが、ハードワークの連続だったため、働き方を見直すことに。新たな分野にもチャレンジしたく、縁あってAtomisで働くことになりました。今は研究補助員として研究員の方々の実験をサポートしています。

Atomisでは、京都大学の北川進特別教授が発見したPCPという多孔性配位高分子を社会実装につなげるための研究開発を行っています。多孔性配位高分子はエネルギー、医薬品、宇宙開発などさまざまな産業分野への応用が期待されている革新的な新素材であり、世界から注目を集めています。

化学分野における研究職の中途採用では、化学系大学・大学院の出身者か化学系企業で実務経験を積んだ人が優遇されることが多いのですが、Atomisの応募資格や条件は幅広い人材に門戸が開かれていました。「こんな機会はめったにないこと。ぜひチャレンジしたい」と応募を決め、今は充実した毎日を送っています。一人で業務に取り組むことも多かった前職とは違い、研究員の皆さんと共に試行錯誤しながら実験に取り組む日々はとても新鮮。最先端研究の一端を担っていることにもやりがいを感じています。また職場には同世代の方が多く、高い志と情熱を持った人たちに囲まれ、大いに刺激を受けています。

どのような学生時代を過ごしましたか。

大阪工業大学の環境工学科に進学したのは、小学6年生の時に学校の授業で環境問題を学んだことがきっかけです。とりわけ地球温暖化に興味を持ち、この時から専門的な学びを深めたいと思っていました。当時の環境工学科は途中から地域マネジメントコースかソリューションコースのどちらかを選択できたのですが、化学実験に熱中していた私は、好きなことを追求できるソリューションコースを迷いなく選びました。

学生時代を振り返ると、真っ先に頭に浮かぶのは通学と授業課題です。実家がある三重県から大宮キャンパスまで通っていたので、片道2時間半ほどかかり、かなり大変でした。朝の6時半には家を出て、授業が終わればまっすぐ帰路につき、夜は課題に追われる毎日。必須科目だった環境工学設計では、浄水施設の設計図を描くという難易度の高いテーマが出題され、とても苦労したのを覚えています。とはいえ、理系は文系とは違って明確な答えを導き出す課題が多く、それは得意な方だったので、自分なりに楽しみながら取り組めていたと思います。

平日にはできないアルバイトを土日に詰め込み、慌ただしい学生時代を過ごしましたが、授業が早く終わった日には、仲の良いメンバー7人で映画を観に行ったり、食事をしに行ったりすることもありました。環境工学科は同学年の70人中女子学生が7人だったので、結束力が強かったんです。絆は当時からずっと変わらず、卒業して10年近く経った今でも定期的に集まってワイワイと近況報告をしています。

お世話になった先生との思い出を聞かせてください。

大学に進学したばかりの頃は、自分の将来について明確なビジョンが描けなかったのですが、勉学に励む中で少しずつ夢や目標が見い出せるようになっていきました。中でも上下水道への関心を深め、両親から阪神淡路大震災時に水で苦労した経験談を聞くうちに、水道関係の職に就きたいと考えるようになり、就職活動に勤しみました。前職で夢を実現できたのですが、その出会いを結んでくださったのは、恩師である古崎康哲先生です。なかなか内定をもらえず苦戦していた時に、「こんなところがあるよ」と声をかけてくださいました。

古崎先生のバイオサイクル研究室に所属し、LEDライトを用いた野菜の屋内栽培に関する研究に取り組む中では、いつも学生たちに優しく接しておられた先生の姿が印象に残っています。私たちの研究グループを車に乗せてビニールハウスの見学に連れて行ってくださったり、9号館のベランダでゴーヤを育てていた時は、栽培で使う土を一緒に選んでくださったりしたこともありました。学生へのサポートが手厚く、私もさまざまな場面で助けていただいたことに心から感謝しています。

今後の夢や目標について教えてください。

前職では、環境統計分析の授業で学んだことが生かされる場面も多く、水道水質検査方法の妥当性を評価する際などには学生時代の教科書を引っ張り出していました。現職では、扱う実験器具も実験方法も初めて尽くし。最初は戸惑いましたが、研究員の皆さんに教わりながら技術と知識を習得しています。研究補助員としての役割を十二分に果たすためには、ますますスキルアップが必要で、自分が携わっている実験についてより深く勉強しなければなりません。今はすべての実験を指示のもとで進めていますが、一日も早く独り立ちすることが現在の目標です。

当社は2023年に国内最大のバイオメディカルクラスターが形成されている神戸ポートアイランドへの移転が決まっています。私もまもなく神戸へ引っ越す予定で、そろそろ準備にかからなければと考えているところです。京都を離れるのはおおよそ10年ぶり。新天地で始まる生活を思い描き、ワクワクしています。新しい住まい探しも、学生時代の仲良しメンバーの一人で神戸出身の子が手伝ってくれることになっているので心強いです。

京都には長く住んでいながら、実はあまり観光をしたことがなく、神社仏閣めぐりが好きで御朱印帳も買ったのですが、白紙ページばかり。身近に有名な社寺がたくさんあっても、いつでも行けると思ったら案外足が向かないものですね。神戸に移り住んだら京都が恋しくなって、遊びに行く機会が増えるかもしれません。それもまた楽しみです。

こぼれ話・・・

転職後は定時に帰宅できる日も多くなり、コロナ禍もあっておうち時間が増えたという木田さん。せっかくのオフタイムを充実させようと、植物を育て始めたそうです。「水耕栽培しているクロッカスの成長を毎日確認するのが楽しみなんです。根っこが出てきたなとか、芽が大きくなったなとか。最近はニンジンのヘタを土に植え、ベランダ菜園にもチャレンジ中です。身近な自然に癒される穏やかな日々は、何ものにも代えがたいとしみじみ噛みしめています」。