校友ハツラツ女子

vol.446(発行日: 2021年8月5日)

キラキラ輝く女性校友にインタビュー!!
今回は、常翔学園高等学校の卒業生で、
夢だった弁護士の道を歩み始めたばかりの津吉美月さんにご登場いただきます。
勉強や課外活動に励んだ高校時代のことや現在の仕事のこと、将来の夢などを伺いました。

常翔学園高等学校 普通科 スーパーコース 2012年卒業

津吉 美月

さん

(つよし みづき)

2016年に創価大学法学部法律学科を卒業し、2019年に同大学院法務研究科法務専攻専門職学位課程を修了。現在は弁護士法人進取法律事務所(https://sinsyu-law.com)に勤務する傍ら、大阪弁護士会「子どもの権利委員会」にも所属し、子どもを取り巻くさまざまな問題と向き合う。

現在の仕事について教えてください。

昨年、司法試験に合格し、今年1月から弁護士法人進取法律事務所で、弁護士として働き始めました。大阪府内に本所と2つの支所があり、私は西天満にある本所に勤めています。今は先輩弁護士の下で、一般民事事件、相続や離婚といった家事事件などの相談に応じているほか、刑事事件にも取り組んでいます。学生時代に身に付けた知識と実務で必要な知識が大きく違い、覚えることが多すぎて最初の数カ月は戸惑うばかり。研修を受けたり本を読んだりして、ひたすら知識を深めることに徹しました。弁護士になったと実感できるようになったのは、つい最近のこと。ひとり立ちするには、もう少し時間がかかりそうです。

弁護士を目指したきっかけは何ですか?

最初に弁護士を夢見たのは、小学生の頃です。困った人の役に立ちたいという気持ちが芽生え、弁護士はそれに最も近い仕事なのではないかと思いました。家族が、学校や職場でハラスメントを受けたことがあり、その時困った人の役に立つことの大切さを教えられました。悩み苦しんでいても誰にも相談できず、声を上げられない人の力になりたいという思いが、弁護士を志す大きなきっかけになりました。

どのような高校時代を過ごしましたか?

スーパーコースに在籍していたので、勉強漬けの毎日でした。大阪工大の図書館で閉館時間まで勉強したりと、成績は良くないながらも努力を重ねました。中学時代は不登校になった時期もあり、すっかり勉強嫌いになったのですが、楽しい授業をしてくださった先生方のおかげで、高校に入ってすぐに払拭できました。いつしか苦手意識も和らぎ、自然と勉強する習慣が身に付きました。特に好きだったのは、尾崎俊江先生の現代文の授業です。担任だった田村直宏先生には、在校時から弁護士を目指していることを話していました。田村先生は本当にユニークで、生徒からとても人気がありました。司法試験に合格したときには、先生方にもご報告に伺いましたが、大変喜んでいただけました。本校の先生は皆さん個性的で、生徒思いの方ばかり。私の夢や、やりたいことを否定せず、いつも応援してくださったおかげで今があります。

高校時代
素敵な先生や多くの友人と出会えました。

高校時代に勉強以外で熱中したことはありましたか?

歌うことや音楽が好きで、学外の合唱団に所属していました。実は、当時は人前で話すことが苦手だったのですが、歌うことには抵抗がありませんでした。高校生になって、ステキな先生方や友達に囲まれて、ずいぶんと性格が変わったと思います。
以前、本コーナーに登場された宇藤加奈さんとは、高校時代から仲良しで、今もときどきご飯を食べに行ったりしています。1年生の時にクエストカップ全国大会(※)へ同じチームで出場し、プレゼンテーションでの人への伝え方や見せ方などを夜遅くまで練習しました。田村先生のサポートもあり、企業賞を受賞できたことは、高校生活での一番の思い出です。
※日本最大規模のアクティブ・ラーニング型の学習発表会。全国の小中高生が探究学習プログラムに挑み、社会に向けて学びの成果を発信する

大学・大学院生活はどのような日々でしたか?

高校卒業後は創価大学法学部法律学科に進みました。大学生になっても、生活の中心はやっぱり勉強でしたね。自分で1日のタイムスケジュールを組んで、大学院生の時には朝10時から深夜0時まで自習室にこもっていました。昼食も夕食も大学の食堂で食べ、寝食とお風呂以外は勉強に集中。司法試験まで残り100日となった時には苦手なところを書き出し、克服するために淡々とこなす毎日でした。高校時代に勉強する習慣が身に付いていたことは、本当に良かったと思います。

勉強に励む一方で、すっかりのめり込んだのがジャズです。大学2年生まではジャズクラブに入り、先輩に教わってテナーサックスを吹いていました。部活説明会の時に初めて見て、かっこいいなと思ったのがきっかけですが、練習を重ねてレギュラーメンバーに選ばれ、大会にも出場することができました。

大学時代
大学時代はサックスの練習に打ち込んでいました

弁護士を目指す中で悩みや不安はなかったのですか?

大学時代は司法試験に必ず受かるという確証がない中で、悩みや不安は尽きませんでした。このまま大学院へ進んでいいのだろうか、勉強が特別できるわけではなく、司法試験に合格できるはずがないのではないかと。ある時、大学の先生に「自分がどれくらい成長しているのか、どの方向に向かっているのかわからない」と打ち明けたことがありました。すると、「池に石を投げ続けても変化は目に見えないが、確実に溜まっている。いつかその積み上がった石が水面から見えてくる時がくるから。着実に前に進んでいるよ」と励ましてくださり、がんばろうと思えました。大学院3年生になって、ようやく少し光が見えるようになりました。
悩みながらも心が折れなかったのは、困った人を助けたいという信念が揺らがなかったことと、応援してくれる両親や先生方、先輩、友人の気持ちに応えたいという思いが強かったからです。弁護士になることは、自分のためであり、周りの人のためでもありました。
司法試験に一発合格できた時は、自分でも信じられませんでしたし、先生も驚かれていました。今でもまぐれかな、奇跡かなと思います。「絶対に受かる!」という強い気持ちがあったからこそ、合格できたのかもしれません。勉強が思うようにできなかった中学時代を振り返り、自分自身を諦めたくない気持ちもあったと思います。自分の可能性を信じて、何かを叶えたいという思いはずっと持ち続けていました。

これからの目標や夢を教えてください。

過去の自分の経験を活かして、学校問題や子どもの権利などに携わっていきたいです。教育現場は時代や社会情勢によって変化しますが、いじめや不登校が減ることはなく、根深い問題です。学校以外で学べる場所や子どもたちが助けを求められるところが、もう少し増えるといいなと思います。

現在は職場環境に恵まれ、先輩方から多くのことを教えていただき、弁護士になる前からやってみたいと思っていたことをさせていただいています。学べることに感謝し、経験と知識を積み重ねて成長することがひとまずの目標。弁護士になったからには、一生勉強を続けていきます。勉強が大好きとまでは言えませんが、もう逃げられないですから(笑)。
当事務所は、依頼者の方々に安心していただける環境を整えています。何でも気軽にご相談ください。

こぼれ話・・・

取材当日、津吉さんの襟元には、金色の弁護士バッジが輝いていました。
「身につけたのは今日で3回目くらい」と津吉さん。なくすのが怖くて、普段はずっとカバンの中にしまって携帯しているのだとか。「久々につけるとずっしり重みを感じます。使い込むと銀色になるのですが、金ピカはいかにも新人って感じでちょっと恥ずかしいですね。重厚なバッジに見合う働きをしていきたいと思います」。